2019年12月の第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)は、温暖化防止への道のりの困難さを改めて印象付けた。二酸化炭素(CO2)など温室効果ガス削減の国際的なルール「パリ協定」がスタートする20年を目前に、国別目標の引き上げの機運盛り上げを目指したが、採択された成果文書に強い内容は盛り込まれず、新聞論調も厳しい声が並んだ。
会議の最大の焦点は、排出削減に向けた目標について文書にどういう表現を盛り込むかだった。パリ協定は一律の目標を定めるのではなく、各国の自主的な目標を積み上げる仕組みで、締結時に各国が目標を示した。ただ、この目標は十分ではない。
■採択文書は「緩い表現」に
協定は、産業革命後の気温上昇を2度未満、できれば1.5度に抑えるという目標達成を謳う。しかし、現在の排出を続けると、向こう10年ほどで「2度」を上回る可能性もあり、現在の削減目標のままでは今世紀中に3.2度上昇し、2度に抑えるには各国が削減目標を3倍、1.5度にするなら5倍にする必要があるとされる。そこで、各国は2030年までの削減目標を20年2月までに国連に改めて提出することが求められており、グテーレス国連事務総長は「各国は野心を大幅に高めないといけない」と、目標の大幅上積みを呼びかけ、50年の排出量を実質ゼロにすることも求めてきた。
しかし、パリ協定からの離脱を19年11月に通告した米国はもちろん、排出量1位の中国、同3位のインドなどは排出削減が経済成長の足かせになるのを警戒して、「我々は国情に基づいて野心的な気候対策を行っている」との声明を出すなど、後ろ向きの国が多い。結局、会期を2日延長してやっと採択された文書は、「(国別目標の引き上げに)可能な限り高い野心を反映するように強く要請する」という緩い表現にとどまった。
ちなみに、COP25で73カ国が排出量削減目標を強化する意向を示したが、日本は2030年度に13年度比26.0%(05年度比25.4%)減らすとの従来目標の引き上げは表明しなかった。
もう一つの焦点が、パリ協定の実施ルールのうち「市場メカニズム」と呼ばれるCO2の排出削減量を国際的に取引するルール作り。ある国が他国で取り組んだCO2の削減分を、自国の削減分として計上できるというもので、エネルギー効率が悪い途上国などでは、先進国より少ない資金で効率よく温室効果ガスを削減できるとして、パリ協定に先立つ京都議定書から認められている。今回、パリ協定より前(2019年以前)に削減して残っている分を認めるか否か、また、実際に削減した国とこれを支援した国の「削減の二重計上」の扱いなどで紛糾し、結局、合意できず、20年のCOP26(英グラスゴー)に先送りされた。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース